橋上の人 三
蒼ざめた橋上の人よ
あなたの青銅の額には 濡れた藻の髪が垂れ
霧ははげしく運河の下から氾濫してくる
夕陽の残照のように
あなたの褪せた追憶の頬に かすかに血の色が浮ぶ
日没の街をゆく人影が
ぼんやり近づいてきて 黙ってすれ違い
同じ霧の階段に足をかけ
同じ迷宮の白い渦のなかに消えてゆく
孤独な橋上の人よ
どうして いままで忘れていたのか
あなた自身が見すてられた天上の星であることを・・・
此処と彼処 それも ちいさな距離にすぎぬことを・・・
あなたは愛を持たなかった
あなたは真理を持たなかった
あなたは持たざる一切のものを求めて
持てる一切のものを失った
橋上の人よ
霧は濃く 影は薄く
迷いは いかに深いとしても
星のきまっている者は ふりむこうとしない
そして 濡れた藻と 青銅の額の上に
夜の環が冷たく かぶさってくる
星のきまっている者の 空にまたたく光のために
→ 一
→ 二
あなたの青銅の額には 濡れた藻の髪が垂れ
霧ははげしく運河の下から氾濫してくる
夕陽の残照のように
あなたの褪せた追憶の頬に かすかに血の色が浮ぶ
日没の街をゆく人影が
ぼんやり近づいてきて 黙ってすれ違い
同じ霧の階段に足をかけ
同じ迷宮の白い渦のなかに消えてゆく
孤独な橋上の人よ
どうして いままで忘れていたのか
あなた自身が見すてられた天上の星であることを・・・
此処と彼処 それも ちいさな距離にすぎぬことを・・・
あなたは愛を持たなかった
あなたは真理を持たなかった
あなたは持たざる一切のものを求めて
持てる一切のものを失った
橋上の人よ
霧は濃く 影は薄く
迷いは いかに深いとしても
星のきまっている者は ふりむこうとしない
そして 濡れた藻と 青銅の額の上に
夜の環が冷たく かぶさってくる
星のきまっている者の 空にまたたく光のために
→ 一
→ 二
by comet1958
| 2008-07-02 21:00
| ことばたち