もし鳥だつたなら

ギリシアの柱のてつぺんで
朝日の歌をうたはう
オリーブに包まれた神殿に
隅まで明るい朝日
そのなかで死ぬまで心をはりつめて
もし鳥だつたなら
そのとき青空に落ちて行くだらう
言葉にだけたよつてそんな一生の終りにさへ
自分は近くゐるのだと
考へられるから
さうして
鳥の形をした雲になり
またあたらしい歌をうたはう
もし鳥だつたなら
ああ 日毎に千の歌をかへてうたはう
朝日の歌を 朝日は翼を磨いてゐる
もう僕は後悔の鳥でない
ギリシアの柱に きらきらする歌をうたはう
by comet1958
| 2001-01-01 09:05
| ことばたち