橋上の人 一
橋上の人よ
街角をまがる跫音のように
あなたは うしろを ふりかえらなかった
風にとぎれる はかない幻想が
あなたの心にうかんだ道のすべてだった
橋上の人よ
砂浜につづく足跡のように
あなたは うしろを ふりかえらなかった
浪にくずれる むなしい幻影が
あなたの宙にうかんだ道のすべてだった
橋上の人よ
あなたは 冒険をもとめる旅人だった
あなたの跫音と あなたの足跡は
いたるところに行きつき いたるところを過ぎていった
橋上の人よ
どうして あなたは帰ってきたのか
出発の時よりも貧しくなって
風に吹かれ 浪にうたれる漂泊の旅から
どうして あなたは戻ってきたのか
橋上の人よ
まるで通りがかりの人のように
あなたは 灰色の街のなかに帰ってきた
新しい追憶の血が
あなたの眼となり あなたの表情となる「現在」に
橋上の人よ
さりげなく煙草をくわえて
あなたは 破壊された風景のなかに帰ってきた
新しい希望の血が
あなたの足を停め あなたに待つことを命ずる「現在」に
橋上の人よ
→ 二
→ 三
街角をまがる跫音のように
あなたは うしろを ふりかえらなかった
風にとぎれる はかない幻想が
あなたの心にうかんだ道のすべてだった
橋上の人よ
砂浜につづく足跡のように
あなたは うしろを ふりかえらなかった
浪にくずれる むなしい幻影が
あなたの宙にうかんだ道のすべてだった
橋上の人よ
あなたは 冒険をもとめる旅人だった
あなたの跫音と あなたの足跡は
いたるところに行きつき いたるところを過ぎていった
橋上の人よ
どうして あなたは帰ってきたのか
出発の時よりも貧しくなって
風に吹かれ 浪にうたれる漂泊の旅から
どうして あなたは戻ってきたのか
橋上の人よ
まるで通りがかりの人のように
あなたは 灰色の街のなかに帰ってきた
新しい追憶の血が
あなたの眼となり あなたの表情となる「現在」に
橋上の人よ
さりげなく煙草をくわえて
あなたは 破壊された風景のなかに帰ってきた
新しい希望の血が
あなたの足を停め あなたに待つことを命ずる「現在」に
橋上の人よ
→ 二
→ 三
by comet1958
| 2008-10-22 20:44
| ことばたち